幸者堂

企業分析の方法

2025/07/19

ここでは企業分析の手法などを纏めます。


就活に際していくつか企業分析を行いました。

その際に私自身が勉強し、為になった知識事項を健忘録として書きました。

まだ就活が終わった身ではないので、間違っているかもしれません。変な所があったら教えてください🙇‍♂

就活便利サイト

情報源一覧

IR情報

Investor Relations(投資関連)情報は文字通り投資家向けの情報で、 主に有価証券取引報告書(有報)が有名です。 他にも決算の説明や中長期事業計画、事業セグメント毎の伸び縮みが載っていることもあります。

有報は上場企業が公開する情報で、ある程度決まったフォーマットに則っていて、法的に詐称することは禁じられているので信頼性は高いです。なお詐称した場合は金融庁から直々に勧告が出される。(詐称した例はこちら)

投資家向け情報なので就活生は従業員状況や事業内容、あるいは企業の安全性(資産状況など)を抽出して参照すると良いとされます。

OB訪問

上場している企業は有報が公開されていますが、非上場企業は公開していません。 また公開情報からは職場の雰囲気や残業状況など、より現実的で具体的な情報は得られません。そこで頼りになるのが先輩!

業界地図

業界地図は主要な業界の現状や動向などを地図のように示したものです。 業界の動向やその分野における企業の関係性(出資、取引)や勢力がわかりやすく表示されています。 なお代表的な業界地図には東洋経済新報社が発刊する『会社四季報業界地図』と日本経済新聞社が発行する『日経業界地図』があります。

会社四季報業界地図は最も売れている業界地図です。明治大学生ならこちらから閲覧できます。

一方で日経業界地図は業界天気図といった業界の景気や動向も分析してくれているので、ちょっと深く知りたいケースには向いているでしょう。

四季報

四季報は業界別に様々な企業が掲載されているもので、各企業の様々な情報が紹介されています。

と言った情報が乗っていて、思った以上に就活向けの情報誌です。(なぜか一部の投資家がよく使うみたいですが)

またページの冒頭には収入や有給取得ランキングが掲載されており、 巻末にはインターンの紹介リストや各業界の会社数、平均残業時間、三年後離職率と言った全体の動向を知るデータも掲載されています。

業界地図では業界内におけるその企業の関係や動向を示していましたが、四季報ではより各企業を深堀していて就活生が知りたい情報をパッと見で知ることができます。

会社HP

会社の社風や社訓、価値観といったものや、実際の社員のインタビューといった情報や実際の商品やサービスなどを知ることができます。 もちろんよく見られるようにいくらでも頑張れる場所なので客観的視点には欠けるかもしれませんが、より詳細に企業を知るには必要不可欠でしょう。

就活対策

マイページ作成

これが一番大切かもしれませんね。

受ける受けないに関わらず、少しでも興味を持ったらマイページ登録しておくことをおすすめします。 というのもお知らせがメールで届くのでインターンの情報をいち早く知ることができるからです。

面接

面接は企業が求める学生像とマッチするかどうかなので、学生自身が成功非成功を判断するのは難しいとされています。 私から言えることは以下です。

ES

早く出す。これに限ります。

情報の業界に限るかもしれませんが、一度書けばある程度使い回しの効く部分も多いでしょう(例えば自分の経験やスキル、資格といった部分)。

志望動機などは各企業ごとに合わせて書く必要があるかもしれませんが、「私はOOという性質を持っていて、A社のXXに共感したので志望しました」という構文ならOOの部分は使い回せますよね。

とにかく早く出すことです。適切にESを書いて出せば問題ないですから。

グループ・ディスカッション

経験予定なし。私がここで述べるより、皆さんが自分で調べたほうが良いでしょう。

インターンシップ

インターンシップはその会社の内情を知るうえでとても貴重な機会です。

人事やメンターからその会社の働き方や、どんな人がそこにいるのか。 業務を遂行するにはどのようなことを考える必要があるのかなど。多くのことを知ることができます。

そこで働く人たちがどうしてこの会社に来たのか。前の職場と比較して、どうしてここが良かったのかなども聞けるかも知れませんね。

また、会社によっては正社員並みの待遇を用意してくれる場所もあります。 アルバイトと比べて、はるかにお金を得ることもできるでしょう。

さらには先行直結型なるものを展開している会社もあります。 なるべく早く就活を終えたい学生は率先してこういった会社を受けるのも良いかもしれませんね。

IR分析

基本事項

自己資本利益率(ROE)

「株主から調達した資金と過去の収益のうち内部留保していた資金により、どの程度の利益をあげているかを見る尺度」(財務省)

平均が8.4%で、10%を超えると優良企業と言われるそうです。 求め方は

ROE=純利益自己資本\text{ROE} = \frac{\text{純利益}}{\text{自己資本}}

で求まります。 自己資本とは純資産 − 新株予約権で、返済が不要な資産を示します。

キャッシュフロー

CFとはキャッシュ・フローの略称で資金の流れを表します。 CFには3種類(+α)あります。

項目内容説明
営業CF本業での収支。基本的にプラスが好ましい。営業活動からどれだけ現金が生まれているかを示す。
投資CF- マイナス:設備投資や研究開発に伴う支出
- プラス:事業売却や資産売却による収入。
企業の成長段階によりマイナスでも健全な場合があるが、プラスでも債務圧迫による売却の可能性もある。
財務CF- マイナス:借入金の返済や配当金支払いなど
- プラス:借入や株式発行による資金調達。
マイナスであっても営業収入が堅調なら問題ないこともある。
ネットCF上記3つのキャッシュフローの総和。プラスであれば資金繰りが良好とされるが、単年だけでは判断できないためトレンドの把握が重要。

見方

営業CF投資CF財務CF評価
成長企業設備投資と資金調達で成長を狙う。投資の成果に注目。
安定企業本業で稼ぎつつ投資、借入も返済。理想的なパターン。
再建中本業不振で事業売却・資金調達。短期的にはOKだが継続なら危険。
縮小傾向投資せず、資産売却で現金確保。将来の成長に不安あり。

資産状況

資産がどの程度あるかはその会社の体力を示す物差しとして有用です。 現金化するものが手元にあり、それが負債額を超えていればすぐには破産しないでしょう。

かといって、負債額が資産額を超えていても必ずしも悪いというわけではありません。 同じ業界の他社同士を比較して、健全性を評価してください。

また資産が多ければ多いほど良いというものでもありません。 日本経済では内部留保が多すぎるがゆえに投資が進まず、停滞した経済を招いているという考察もあります。 これは社員をすぐにリストラできない制約下で過去のリーマンショックを受けて、多くの企業が深手を負ったというトラウマからくるもので、特に日本企業に多い体質と言われています。

今後の成長を見るなら資産のみならず、投資金額などお金の流れ(キャッシュフロー)も一緒に見る方が良いでしょう。

目安には以下の指標があります

流動比率

流動比率=流動資産流動負債\text{流動比率}= \frac{\text{流動資産}}{\text{流動負債}}

100%超えていて余っているようなら、十分に投資をできていないと言え、下回り続けているようでは債務に追われていると見て取れることができます。

当座資産と当座比率

流動資産は売れ残りなどの商品を含むことができるので、より換金性の大きい現金や有価証券などのみで構成する指標で考えます。 これを当座資産と呼びます。 流動比率同様に当座比率も考えられ、

流動比率=当座資産流動負債\text{流動比率}= \frac{\text{当座資産}}{\text{流動負債}}

で定まります 「100%に近かければ、負債に追われていない」と言えます。